「沖縄県の米軍新基地建設の海域埋め立てのため、沖縄戦戦没者遺骨の混じった土砂を使用しないよう国に意見書提出を求める陳情」について
2021年12月議会に伊勢原在住の市民から「沖縄県の米軍新基地建設の海域埋め立てのため、沖縄戦戦没者遺骨の混じった南部の土砂を使用しないよう国に意見書提出を求める陳情」が提出されました。本会議最終日に、以下の本陳情に対する賛成意見を述べました。
2016年に成立した「戦没者遺骨収集推進法」では、遺骨収集を「国の責務」と位置付け、同法に基づく収集計画には「戦没者の尊厳を損なわないよう、丁重な配慮をして遺骨収集を推進する」と明記されました。第二次世界大戦において、現在の沖縄県南部の糸満市摩文仁におきましては、総務省によりますと200,656人の方々が犠牲となられ、そのうち沖縄県出身軍人軍属は28,228人、他都道府県出身兵は65,908人、一般県民94,000人、米軍12,520人と公表されていますが、圧倒的に一般の方々の犠牲者数が膨大であったことを改めて認識させられました。しかも、他都道府県出身兵の犠牲者の中には、わが町出身の方々が確かに存在していたことであり、これは沖縄だけの問題にとどまらないと言えます。
令和3年12月6日の毎日新聞には、当時教師であった中曽根政義さんがまとめた「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」のなかから1945年6月18日の夜に5歳になる男の子が戦争の混乱の中家族も不明のままで息を引き取ったことが、忘れることができない記憶として掲載されました。一般県民の犠牲者には、成人男子ばかりでは無く当然女性、乳幼児子ども、高齢者も含まれるわけですが、先の記事のような戦場で亡くなった孤児の実態は判明していないとの事です。未就学の年齢で家族不明のままで亡くなった、いったい何人の子どもたちがいたのかと、76年の時を経てもやり場のない思いは治まることはありません。このように第二次世界大戦による戦没者に対する慰霊に関しても道半ばの状態でありながら、新基地建設に沖縄本島南部の土砂を使う計画はあまりにも亡くなられた死者への尊厳を踏みにじる行為であり、ただちに沖縄南部地域からの土砂採取は中止するべきです。全国の地方議会からも130を超える遺骨土砂の使用中止を訴える意見書が提出されています。
さらには、辺野古基地建設について、賛否を問う県民投票では7割以上が「反対」の票を投じているにもかかわらず、政府は建設工事を推し進めています。沖縄だけが過重な基地負担を強制され続け、住民の人権、地方自治が侵害され続けている状況は憲法に照らしても決して許されるものではありません。
以上、本陳情は採択されるべきです。