離婚後の面会交流については子どもを第一に

伊勢原市の9月議会では、「別居・離婚後の面会交流についての法整備を求める意見書の提出」を求める陳情が提出され、審査しました。

 

2019年度の婚姻件数は、58万3000組であったのに対し、離婚件数は21万組であったと厚生労働省は推計値を発表しています。その離婚件数のうちの半数以上に未成年の子どもたちが存在していると考えられます。夫婦は離婚をしても、子どもと双方の親との関係は変わらず続くのであり、親子関係は終わらないと言う認識を明確にしておく事は重要です。なぜなら、子どもたちにとってどちらの親からも愛され、大切にされていることは安心感や自信をもつことにつながり、健全な成長をより豊かにする事が期待できると言われています。

夫婦関係が破綻して離婚に至った過程においては、子どもを引き取った側は、別れた相手に子どもを合わせたくないと願う傾向があるようです。しかし、子どもの最善の利益や福祉のために「別居・離婚後の面会交流」は、DVや虐待等の問題がない限り妨げるべきではありません。『陳情の理由』にもあるように、民法766条の改正では、面会交流と養育費が法律上明確にされたにもかかわらず、義務付けるものとはなっていません。そのため、別居している親との関係が途切れているケースが少なくない事や、養育費の不払いが子どもの貧困を招いている等、将来ある子どもにとっての利益が損なわれている状況があるからです。

また、国際比較においても多くが離婚後も共同親権制度を採用しているにもかかわらず、先進国と言われる中で日本だけが単独親権を採用していますが、子どもの福祉の観点からは不十分と指摘されています。頻繁な面会交流や共同養育の実施では支援員等第三者が係ることにより、多くの目が注がれ、子どもの安全をより確実にすることができます。日本は1994年に子どもの権利条約を批准し、2014年にはハーグ条約に加盟していますが、日本の国内法とは矛盾し、現状に活かされているとは言えない状況にあります。まずは、日本独特の家制度の影響が残ると言われる単独親権をあらため、面会交流については具体的な根拠と指標を設け、頻繁にかつ継続的に実施するための法整備を進めるべきです。

本陳情を採択するべきと考え、国に意見書を提出することに賛成しました。しかし、他の委員の反対が多く、不採択となりました。

 

前の記事

2020年の平和への願い