伊勢原の環境保全型農業の状況について
近年、地球温暖化防止等環境問題への関心が高まっていますが、食の安全についても「オーガニック」や「有機」の農産物に関心が寄せられ、比較的大きなスーパーマーケットでは「有機野菜」や「オーガニック野菜」が販売されているのをよく見かけます。また、市内では「学校給食に有機野菜を取り入れてほしい。」と言う子育て世代の声もよく耳にします。しかし、世界との比較では日本の環境保全型や有機農業の進展は伸び悩んでいる状況にあるようです。
伊勢原市9月議会の産業建設常任委員会決算審査で、伊勢原の環境保全型農業の現状について質問しました。環境保全型農業に取り組む農業者等に対する直接的支援は、2018年度の決算額は320,000円、2019年度は329,510円、2020年度484,800円と少しずつではありますが増加傾向にあります。また、農林水産省が公表している2020年度環境保全型農業直接支払交付金の実施状況を見ると、神奈川県内で環境保全型農業に取り組む自治体は川崎市、相模原市、藤沢市、小田原市、三浦市、伊勢原市、中井町、愛川町の計8自治体です。環境保全型農業とは、「化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減した上で、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動や有機農業に取り組む」農業のことです。
市内で環境保全型農業に取り組む団体等は1団体1名でしたが、2020年度からは1団体2名となったとの報告がありました。しかも、両名とも「化学肥料や化学合成農薬を一切使用しない有機農法」に取り組む農業者で、耕作面積は425aです。それぞれ水稲や大豆、小松菜や白菜、人参や大根、じゃがいもや サツマイモなどを栽培しており、堆肥や肥料としては、米ぬかやビール粕、籾殻やじゃがいもなど、天然成分に由来したものを用いています。「化学的に合成された肥料や農薬を使用せず、堆肥などを用いた有機農業に取り 組むことは、土壌中の炭素が増えることにより大気中のCO2 が減少するとと もに、鳥類や昆虫など、様々な生物の豊かな生態系が保たれることが確認され ており、こうした取組を推進することにより、環境への負荷が低減され、地球 温暖化の抑制や、生物多様性の保全に寄与することにつながる。」との事です。
一方、環境保全型農業や有機農業では、生産性や品質が低下することや労力負担増が課題となって取り組む農業者等が増加しにくいと言われています。しかし、買って・食べるニーズが確実にあれば取り組みに意欲的な農業者も少なくはないとも言われています。環境保全型農業や有機農法に取り組む農業者が増えるように、私たち市民は「有機野菜やオーガニック野菜」に関心を持ち、買って・食べ続けて応援することが大切です。