子どもたちのための『みどりの食料システム戦略』へ
2021年5月に農林水産省が策定した『みどりの食料システム戦略』には、食料や農林水産業の生産性や提供体制の向上とその持続性をイノベーションで両立させる事がうたわれています。しかも、2050年度までに化学農薬を50%、化学肥料を30%低減する目標を定め、さらに推進して有機農業の取り組み面積を25%に拡大する工程を示しています。実効性は革新的な技術向上を前提としているようですが、持続可能な農業生産方式への転換を進める方向性は重要です。これまでも1999年には「持続農業法」、2006年には「有機農業推進法」が施行されましたが、数値目標等具体的な道筋は示されず、また、有機やオーガニックへの市民の関心も現在ほどではありませんでした。しかし、伊勢原市は神奈川県内においても数少ない「環境保全型農業」に取り組む農業者を有する自治体です。市内農業者の「持続農業法」や「有機農業推進法」のこれまでの取り組み状況について3月議会で質問しました。市内の化学農薬や化学肥料の低減に取り組む「エコファーマー制度」の認定農業者は6名であり、また、化学肥料・化学農薬を使用せず遺伝子組み換え技術も利用しない有機農業者は1団体2名ですが、2022年度からはさらに1名のエントリーの予定があるとの答弁でした。しかも農業センサスの統計では、有機農業に取り組む経営体(農家)の数は32で、その内訳は水稲が15,野菜が13,果樹が10,大豆が3,その他が2であり、面積は30ヘクタールを確認しているとの事です。今現在もアレルギーは増加傾向が続き、農薬の子どもたちへの影響を懸念する専門家の指摘もあるなど、市民の間でも特に若い子育て世代のオーガニックや有機への関心はこれまでになく高まっています。『みどり戦略』の目標年次は2050年としていますが、伊勢原市内の「持続農業法」や「有機農業推進法」の取り組み実績を活かし、より早期の達成を目指してほしいものです。安心安全な有機無農薬の食材は身体的に弱さのある方たちや子どもたちに提供されるべきですが、有機無農薬食材による学校給食を求める市民の声が多数寄せられています。すでに有機無農薬の食材による学校給食を実施している全国各地の自治体に学び、本市の学校給食も『みどり戦略』の方針に沿って迅速に進めるべきです。