あらゆる努力で「みどりの食糧システム戦略」は早期実現を!!

化学農薬・化学肥料は2050年までに50%低減

ネオニコチノイドは2040年までに終了

2021年5月、農林水産省が策定した『みどりの食糧システム戦略』は、様々な課題によって持続可能性が危ぶまれる我が国の食料・農林水産業の生産性と提供システムの向上をイノベーションによって実現することが謳われています。近年、大規模自然災害や地球温暖化、生産者の減少や後継者不足等により農林水産業の持続性が懸念されています。また、新型コロナを契機とした消費の変化は食料の生産や提供のあり方にも変化をもたらしました。さらに、諸外国では環境やSDGsを重視した動きが加速している状況にあり、国内の農林水産業もそれらに的確に対応していくことが求められています。何をどのように進めるのか、目指す姿と取組の方向性については、現在から2050年までの実現に向けた具体的な工程表が掲げられてます。

まずは、CO2のゼロエミッション化(気候変動の要因とされるCO2の排出量がゼロであること)の実現で、2050年までと数値目標を示していますが、注目すべきは、その実現への取り組みです。CO2削減のために、化学農薬や化学肥料の50%低減を目指し、しかもネオニコチノイド系農薬については2040年までに使用を終わらせるとしています。さらにすでに始まっている有機農業の進展を強化し、取り組み面積の割合を25%へ拡大することは重要業績評価指標(KPI)に位置付けられています。

これまで、私たちは2011年伊勢原市教育委員会が策定した「学校運営上の化学物資製品使用にあたっての配慮に関するマニュアル」が指摘している事項の実態についてたびたび調査や協議を実施してきました。増加し続けるアレルギーや子どもの脳への影響の懸念から化学物質の中でも特に有機リン化合物(多くは農薬)については公共施設等での防除のための使用を極力避けるよう提案してきました。ネオニコチノイド系農薬についても「人間の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性がある」との専門家の指摘があり、EUなど世界ではすでに厳しい規制が進行している状況です。CO2削減と共に、健康上の問題はより重要なはずですが、その認識は「みどり戦略」では明確にされていません。予防原則の意味からも化学農薬・化学肥料の低減の目標年度はより早期実現を目指すべきでありあらゆる努力を実施していくことが必要です。