介護保険が財政破綻、だから軽度者が使えなくするのは、問題!

2000年の介護保険制度の開始から16年。高齢化が進み団塊の世代が後期高齢者となる2025年が近づいています。介護を保険として社会化し、みんなで担うとしてスタートした介護保険制度が「財政破綻」を理由に、制度改正が進みつつあります。軽度の方の切り捨てともいえる状況です。すでに要支援1・2の方を介護保険から外し、市町村事業へ移行が進められています。今後、国ではさらに要介護2までも介護保険から外すとなっています。

個人的なことですが、約10年前、私は高齢の自分の母親を介護しながら市議会議員を務めました。母は片麻痺で要介護2、デイサービスを週2~3回、ヘルパー利用、月に数日ショートステイを使い、ベッドやスロープなどのリースも活用しました。私は、日々自分のスケジュールと母のスケジュールを調整しながら何とか活動できました。「要介護2」といっても様々な状況があると思います。身体不自由、認知症、家庭の状況など。私の場合を振り返って、介護保険が使えなければどうだったか、市議としての活動にさく時間は到底取れなかったと思います。「要介護2」の人の介護を、担い手が不明確な「地域支援事業」で担うのは全く思い描けません。

介護保険は、文字通り「保険制度」ですが、保険料を支払っていても、重度(要介護度3以上)にならなければ利用できない制度になります。これでは何のための「保険制度」でしょうか。

神奈川ネットでは、介護保険制度改定の影響について、県内の全自治体に対する調査を行いました。伊勢原市担当課では、利用者に対する影響は「わからない」、事業所に対する影響は「わからない」としています。「わからない」ではなく、利用者の実態を把握しようとしているのでしょうか。事業者は報酬単価が下がれば事業の参入を控えることになりかねません。事業所への影響は利用者に跳ね返ってきます。常に利用者の立場で、現状の生活が維持でき心豊かに在宅で生活できることをめざすべき、財政からの議論ではなく、利用者の実態を把握し、現状を維持するための議論が必要と思います。

私たちは、介護保険制度の改定に対して反対の署名活動をしてきました。これまでに多くの市民の方からご協力をいただきましたが、さらに8月末日まで期間を延長して取り組んでいます。さらにご賛同いただける方は、ぜひご連絡ください。  (浜田順子)