6月議会で「2つのワクチン接種」について質問しました。~新型コロナとHPV(子宮頸がん)~
新型コロナワクチンについての集団を対象としたワクチン接種率と感染者との関連を調査した研究では、接種率が高い地域では、接種を受けた人だけではなく、接種を受けていない16歳未満も感染者が減少している結果を確認したとのことです。感染拡大を容易に制御できない現状では、ワクチン接種に大きな期待が寄せられます。
伊勢原市では、医療従事者に続き5月からは65歳以上の高齢者向けの接種が開始、6月末からは64歳から60歳の基礎疾患等を有する対象者、さらに高齢者施設等従事者への接種も進んでいます。当初は、コールセンターや医療機関での予約が過度に集中したことにより市民からは「電話がつながらない」との不満の声が多数寄せられ、ウェブ予約も含め一時中断することとなりました。高齢者約27,700件に一斉に接種券を発送しての予約受付は無理があったようです。しかし、ワクチン接種については、副反応を疑う報告もあり、また、受けたくても受けることができないケースや受けないという意思もあります。市は、高齢者の接種率を70%から80%を目安とする考えを示しましたが、メリット・デメリットよく考えた上での個人の選択が尊重されることが大切です。
その一方で、2013年に定期接種でありながら看過できない重篤な体調変化が多数報告され僅か2か月で接種を見合わせ、積極的な勧奨をしない勧告を全国の自治体に出すこととなったHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種者が近年増加しています。2020年10月厚生労働省は、それまでHPVワクチン接種対象者への個別通知は禁止していましたが、情報提供のためとして各自治体に個別通知を求める通達を出したのです。それを受けて伊勢原市では、厚生労働省作成のリーフレットに市からの保護者宛の通知を添付して送付しています。その結果、接種者は2018年49名、2019年69名であったのが、2020年は155名と飛躍的に増加しました。
子宮頸がん接種者の推移 伊勢原市
子宮頸がん | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
合計 | 49 | 69 | 155 |
近年、15歳から39歳の子宮頸がん死亡者数は減少傾向となっていますが、国や製薬会社に対するワクチンの副反応の薬害訴訟は全国で120人を超える原告が裁判を行っています。また、薬害救済が90%であるのに対し、HPVワクチンは44%しか救済されないとの報告があります。個別に送付される保護者宛の通知には裁判で戦っている被害者の声や他の薬害に比べて著しく低い救済率については掲載されていないので、知らせるべきであると提案しました。しかし、市はリスクについての掲載があるので今後も厚生労働省作成のリーフレットを活用するとの答弁でした。これでは「ワクチンのメリット・デメリットを正しく知って適切な選択をすること」ができません。適切な情報提供が求められます。