急激に進んだ小中学校1人1台タブレット端末の整備

新型コロナ感染症の防止対策として、2020年3月2日から全国の小中学校は突然臨時休校となりました。これまで経験したことのない長期間の臨時休校は児童生徒や保護者に混乱をもたらし、先生や学校も様々な対応に追われることになりました。その一方で、家庭にいながらオンラインで授業を実施する外国や国内のごく一部の学校の事例が報道され、ICT教育への関心が高まるとともに学校休業中の児童生徒への対応に関しては、国内外で大きな格差があることも明らかとなりました。それまでの伊勢原市ICT教育推進計画は、2018年から2022年の間に小中学校児童生徒に1人1台のタブレット端末が導入される予定でしたが、2020年4月に国の緊急経済対策が成立し、閣議決定された補正予算がすべて2020年度に前倒しされる事となり、1人1台タブレット端末の整備「GIGAスクール構想」は急ピッチで進む事となりました。

2021年度の新学期からは、小中学校児童生徒すべてがタブレット端末を使う環境が整いました。しかし、1人1台タブレット端末使用を可能とするためには、学校内のICT環境、教室内では無線アクセスポイントや端末を充電し保管する電源キャビネットの設置、教室外ではLANケーブルやHUB(ネットワーク機器)の設置等、高速大容量の通信ネットワークの整備が必要です。気になるのは、児童生徒の学校環境の急激な変化とICT環境が健康に及ぼす影響に関する事です。すでに子どもたちの生活環境ではテレビ、パソコン、スマホ、ゲーム、ユーチューブ等視力への負担が懸念されています。さらに急激なICT環境の整備の進展は、その影響の検証が不十分であるとの専門家の指摘もあります。特に電磁波については、国際間の比較では日本の電波防護指針の規制値の基準はかなり緩いレベルです。そこで1人1台タブレット端末の導入整備直前の3月議会で、児童生徒が長時間過ごす学校施設における電磁波の測定を提案しました。しかし、教育委員会は「国の防護指針に基づき使用できると考えており、現時点で電磁波の測定は想定していない。」と答えました。しかし、予防原則の観点からも、急速にICT化が進んだ学校施設内における電磁波測定は実施する事が必要と考え、再度要望しました。