介護保険制度の改定は、要支援者の介護給付を外さないで!
2015年度の介護保険制度の改定案では、保険給付から軽度者(要支援1・2)のサービスの削減が検討されています。これは、介護保険制度の理念に反することであり、予防給付が市の事業に移されると質・量ともに受け皿が不足し、要支援者の生活状態が悪化することを危惧します。
12月議会において、「介護保険制度改定では要支援者の介護給付を継続するよう意見書を提出することを求める」陳情書を提出しました。議会では全員賛成で、国に対して意見書が提出されました。
また、伊勢原市内のOKストア前で、街頭署名活動を行いました。多くの市民の方々が関心を持って署名をしてくださいました。(写真)
「陳情書」
介護保険制度は、平成12年の法施行から13年が経過し、介護の社会化が定着してきました。これまでの大きな制度改定としては、要介護者の重度化を予防し介護給付費の低減を図るという目的で平成18年に介護予防給付が創出され実施されてきました。平成27年度施行の改定案では、それを介護保険給付からはずし市区町村による地域支援事業へ3年をかけて順次移行するという案が示されていますが、この改定案は、介護保険制度の理念が後退するものであり、納得できません。
介護保険の最も基本的な理念は、介護保険料を納めた国民は要介護認定(要支援・要介護)を受けて介護サービスを利用する権利が保障されることにあります。個人の負担と個別給付が権利として連動しています。予防給付を地域支援事業に移すということは、必ずサービスが給付されるという権利性を曖昧にし、ひいては介護を再び家族介護に戻す、あるいは介護遺棄につながる恐れを生むといわざるをえません。権利性のない申請主義の地域支援事業では、ニーズの潜在化を招き、介護が家族にしわ寄せされることが危惧されます。
制度改定案に反対する国民の声を受けて、11月14日に開催された厚労省社会保障審議会介護保険部会では、「訪問介護」と「通所介護」の2事業を除き、従来通り介護保険給付に残す案が示されました。しかし、これら2事業は、平成24年度伊勢原市介護保険事業決算では約1億1900万円で、予防給付費の約59%を占めており、利用者にとっては必要不可欠なサービスです。介護保険給付費の約2.6%と僅かな金額であり給付抑制にはつながらず、むしろ利用できなくなる弊害は計り知れません。これらを地域支援事業に移すとしていますが、現行の介護予防事業とはサービスの内容が全く違う事業です。これまでの予防給付によるサービスは、食事のバランス、体調の変化、認知症の初期症状の対応など、専門職の知識と技能が絶対必要であり、介護の専門職が携わるべきです。恒常的・継続的にサービスが必要と判断され認定された要支援者に対して、ボランティア等がこれを担い続けることは実態として極めて困難です。
今回の介護保険制度改定に関し、要支援認定者に対するすべての予防給付を介護保険給付から外すことなく利用者と家族が安心して暮らせるような介護制度を望むものであり、要支援者の介護給付を継続するよう国に意見書の提出を求めます。